■ 保釈そして収監 ■
■ 雑居房から独居房へ
私は拘置所に送られた当初は雑居房に入れられたが、一ヶ月ほどたったある日医務回診のときに耳鳴りがすることを訴えたら、一時間後にいきなり転房させられてしまった。
ろくに診察もしないまま多量の薬を与えられ、毎日飲むことを義務付けられた。
血流を良くする薬だとか言っていたがよくわからない。
転房先は独居房で、せっかく退屈せずに過ごしていたのに迷惑な話である。
拘禁病の初期だと思われたのかもしれないが、本当は全くそんなことはなかったと思う。
拘置所では、きちんと診察もせずに割りと簡単に薬を出してくれる。
パキシルなどの抗うつ剤などでもだ。
勿論、専属の医者はいることはいるのだが。
ともかく仲良くなった仲間がいる雑居を後にして、大きなトイレのような独居房にうつることになった。
独居房は始めのうちは、退屈して時間が経つのが遅く感じられたが、そのうち慣れてきて気楽でいいもんだと思うようになってきた。
トイレが露出しているので、毎日かなり一生懸命に掃除をした。
■ 保釈
保釈の申請は弁護士を通じて裁判所に出す。
弁護は以前より民事訴訟などで世話になっていた弁護士事務所にお願いしていた。
国選弁護人だと起訴後でないと依頼できないが、私選弁護人だと逮捕直後から警察や検察に対して働きかけをしてくれる。
民事訴訟も一件続行中だったので、格安で弁護を引き受けてくれた。
逮捕直後から準抗告や保釈申請をしてくれていたが、全面否認の場合なかなか裁判所が認めてくれないらしい。
結局保釈が認められたのは、裁判が始まって証人尋問が二人ほど終わったときで４度目の申請だった。
保釈金は三百万円で即日納めなければならないが、今回は認められる可能性が高いとのことだったので、前日に彼女に言って弁護士に預けてあったのですぐに納めてもらった。
保釈金は逃亡をしないために担保として裁判所に預けておくもので、刑が確定して収監されるか、無罪となれば全額戻ってくるものである。
ところが、検察が保釈に対して抗告（不服申し立て）をしてきたので、高等裁判所に保釈の控訴をしなければならなかった。
結局翌日には高裁の許可が出て一日遅れて保釈された。
逮捕されて６ヶ月後のことだった。
■ 保釈中の生活
保釈中はいくつかの制限をうける。
・裁判が開かれる際は必ず出頭しなければならない。
・国外へいく場合は裁判所の許可が必要
・被害者と直接の接触をしてはならない
・その他呼び出しがある場合必ず出頭する
などであるが、それらを守っていれば特に生活の支障はない。
その後最高裁まで上告したので約１年半の保釈生活であったが、普通に仕事をしてくらしていた。
■ 判決確定
私の主張は全く無視され保釈されて約半年後に一審で有罪判決がでて、裁判所からそのまま拘置所に収監された。
当然不服なので、翌日には控訴して再度保釈申請をした。
一審で有罪判決が出ると前回と同じ条件というわけにはいかず、保釈金を四百万円に上げて申請してもらった。
今回は検察も抗告しなかったので、収監されて三日後に再度保釈された。
控訴審は高等裁判所で行われるが、約７ヶ月かかった。
今回は弁護士だけ出席すればよいので結果だけを弁護士から聞いたのだが、なかなか一審の判決は覆らない。
今回はすぐに収監されることはないが、再々度保釈申請をしなければならない。
結局保釈金を五百万円に上げ、身元引受人を一人追加することでようやく認められた。
さすがにここまでくると最高裁に上告したものの諦めかけてきた。
最高裁の判断が出るまでの間、仕事と会社の整理をすることになった。
５ヶ月後、上告棄却の通知が届いた。
３年の実刑確定だ。
■ 呼び出し状そして収監
判決がでて２週間は抗告（不服申し立て）することができるので、その期間が過ぎると判決確定ということになる。
抗告は判決が憲法違反であるとの申し立てとなるので、この件ではほぼ無理であるので行わなかった。
判決通知から約一ヵ月後検察庁への呼び出し状が届いた。
２週間後の日時が指定されていた。
仕事上の都合がどうしてもあと数日必要だったので、だめもとで弁護士を通じて一週間だけ遅らせてもらうよう頼んでもらった。
以外に融通が利くものだなと思った。
収監の日、見送られるのも嫌だったので一人でタクシーで検察庁に出頭した。
検察庁で手錠をかけられ、収監先の地元刑務所に護送されていった。
拘置所とはまた一味違う閉鎖された雰囲気があった。
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